立命館大学国際平和ミュージアム Kyoto Museum for World Peace, Ritsumeikan University

広島の原爆瓦 MUSEUM ARTIFACTS



広島の原爆瓦

1945(昭和20)年8月6日

私の専門は放射線防護学。危険な放射線から身を守る方法を研究する分野です。当然、広島・長崎の原爆放射線について知ることも重要な課題です。

この瓦は原爆の熱線にさらされた瓦です。原爆の熱線で瓦の表面は4,000℃ともいわれる高温にさらされて泡立ち、ざらざらになりました。瓦の黒い部分は他の瓦の下にあって熱線にさらされなかった部分で、つるつるしています。

瓦の表面が泡立っているときに空から放射性物質が降ってくれば、そこに捕まります。以前、長崎の瓦の表面からアルファ線を出す放射性物質が検出されました。長崎原爆由来の放射性物質でアルファ線を出す放射性物質といえば、まさに核物質プルトニウムそのものでしょう。瓦はプルトニウムが降ってきたことの証言者だったのです。God is in the detail(神は細部に宿る)という言葉がありますが、資料の細部に本質が宿る可能性について、この資料は教えてくれました。

 

国際平和ミュージアム名誉館長 安斎育郎


 

 

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