立命館大学国際平和ミュージアム Kyoto Museum for World Peace, Ritsumeikan University

2020年度博物館実習報告2 MUSEUM PRACTICUM REPORT2

博物館実習報告

 昨年8月にひきつづき、2回目の博物館実習を実施しました。新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの制限が加えられた中で始まり、その後、緊急事態宣言が発令された中での実習となりましたが、スタッフ一丸となって受入れ体制を整え、感染防止対策を徹底し、無事に終えることができました。

実習概要

実施日 2021年1月12、13、14、18、19、20日 計6日間
実習生 立命館大学文学部 計5名

 

 


実習報告

実習1日目

館内見学

 地階展示室、2階展示室、メディア資料室、事務室など、館内施設の見学を行いました。見学後の意見交換では、当館の展示の良い点や改善点、提案や希望など、実習生の目線から様々な意見が集まりました。

 

立命館 史資料センター訪問

 今回の展示実習では、「勤労学徒」に関する展示を行います。そこで、本学の史資料センターを訪問し、調査員の齋藤 重さんに、立命館と戦争とのかかわり、勤労学徒についてお話いただき、自校の歴史や学徒動員資料について学ぶ機会を設けました。
 同センターには、大学の公文書の他にも、日誌や手紙、写真などが多数保管されています。写真には、野球や旅行など大学生活を楽しむ当時の立命館大学生の活き活きとした姿が残されており、実習生は、自分たちが抱いていた「暗い戦争のイメージ」とはかけ離れていることにとても驚いていました。この訪問では、史資料を通じて、学生の権利が制限され、やがて人命が奪われた過去の戦争について、同じ大学生という立場から考えるきっかけになったようです。

 

資料カードの作成

 他館で資料を調査したり、資料の借り受け作業を行う際、学芸員は、資料を目の前にした状況で資料カード(資料調書)を作成し、資料の状態や特徴などの情報を当該館の職員と共有できるようにします。今回は、訪問先の史資料センターで資料の調査とカード制作を行いました。
 学芸員から作成の手順や記録のポイントなどの説明を受けたあと、各自が選んだ資料のカードを作り、最後に担当した資料について紹介してもらいました。みな集中してカード制作に取り組み、名称、サイズ、員数、材質、状態など、資料に関する諸情報を正確に記録する作業がつづきました。

 

▲館内見学 ▲立命館 史資料センター訪問 ▲資料カードの作成

 

 

実習2日目

温湿度管理

 当館の温湿度管理システム・計器の説明、計器の用紙交換作業を行いました。また、アスマン通風乾湿計を利用して、外収蔵庫内に設置している温湿度計の校正作業もあわせて行いました。実習生には、現在もアナログとデジタルの両方の技術を併用して温湿度管理を行っていることが意外に感じられたようで、アナログ技術のメリットを再認識する時間となりました。

 

館長講義

 吾郷館長による特別講義を実施しました。「平和について」と題し、国際機構の歴史、SDGs(持続可能な開発目標/Sustainable Development Goals)、平和ミュージアムの役割などについてお話いただきました。最近では、さまざまな業界・分野でSDGsという言葉が使われるようになっています。実習生の反応からは、学生の間にも平和やSDGsといった言葉や考えが身近になってきていることがうかがえました。

 

業務説明

 業務説明は、二日に分けて実施しました。当館の財政や運営、教育・広報活動、庶務、展示業務、資料室の運営、受付業務について、現場の職員から直接話を聞く機会としました。実習生は、博物館の多岐にわたる業務、多様なスタッフの存在に気づくことができ、大学博物館の経営・運営状況を知るよい機会となったようです。

 

▲温湿度管理 ▲館長講義 ▲業務説明

 

 

実習3日目

資料管理

 資料管理は、収集資料を整理・保存して将来に伝えるための基礎となる作業です。ここでは、当館での収集から登録までの流れ、作業の内容、データベース(情報管理)についての説明を行いました。資料のデジタル化に関心を持つ実習生が多く、デジタル化のメリットやデメリット、資料とデジタルの今後のありかたについて、学芸員の説明に注意深く聞き入っていました。

 

バックヤードツアー、資料保存環境整備

 博物館の資料保存機能について学んでもらうため、バックヤードツアーと保存環境の整備を行いました。ツアーでは、収蔵庫や前室を初めて目にする実習生がほとんどで、収蔵庫の構造や資料の保存状態など、博物館の資料管理のシステムに驚いていました。その後、文化財IPM(予防に重点をおいた総合的な有害生物管理)の考え方に基づく環境整備の一環として、収蔵庫や展示室の点検・清掃を行ってもらいました。実習生からは、「日々のメンテナンスの積み重ねの大切さ」、「コロナ下での環境整備の難しさ」を実感できた、という声があがっていました。

 

▲資料管理の説明 ▲バックヤードツアー ▲展示ケースの整備

 

 

実習4日目~6日目

展示制作実習

 展示業務の流れを把握したのち、具体的な実務を経験してもらうため、実習の後半は、実習生による展示制作を実施しています。今回は、第137回ミニ企画展示「学徒出陣 林尹夫をさがして―1945-2021」に沿ったテーマを設定し、資料選定、展示レイアウトの作成、キャプション・パネル制作、資料撮影、会場設営などの一連の作業を、チームを組んで行ってもらいました。
 実習生は積極的にアイデアを出し、資料やパネル、展示のレイアウトを練り上げていきました。途中、疲れや焦りでチームでの作業が思うように進まないこともありましたが、最後まであきらめず、それぞれ試行錯誤をつづけて展示を完成させていきました。
 最終日には、学芸員と職員、お世話になった史資料センター調査員の齋藤さんを前に、来館者を想定したプレゼンテーションを行って、展示解説の業務を経験してもらいました。資料の説明・展示に際して考えた工夫など、各自の展示の見どころをうまく紹介できていました。

 

▲資料調査 展示設営 展示解説

 

 

実習成果

 このたびの博物館実習は、立命館 史資料センターにご協力いただき、実施することができました。担当をお願いした調査員、センターの皆様にあらためてお礼申し上げます。
 なお、展示制作実習の成果は、第137回ミニ企画展示「学徒出陣 林尹夫をさがして―1945-2021」の中で紹介いたします。同企画のWEB展示でも公開いたします。実習生ならではの展示を是非ご覧ください。

【チラシへリンク】

 

   

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