立命館大学国際平和ミュージアム 平和教育研究センター Peace Education and Research Institute, Kyoto Museum for World Peace, Ritsumeikan University

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5月13日(土)、挑戦的萌芽研究「平和博物館における戦争体験継承のための展示モデル構築」プロジェクト第3回ワークショップを開催しました!

2017.06.06(火)

 

 2017年5月13日(土)、昨年度より始まった科研費挑戦的萌芽研究「平和博物館における戦争体験継承のための展示モデル構築」プロジェクトの第3回ワークショップ「原爆体験の伝承」を開催しました。
 戦争体験を語ることができる人が減少する中、体験の無い世代が語りを聞き、それを受け止めて次の世代に伝えていく取り組みは、自治体でも行われています。第3回ワークショップでは、東京都国立市が被爆体験の継承に取り組む「くにたち伝承者育成プロジェクト」で伝承者として被爆者の体験を伝える藤本容子氏と、同プロジェクトのアドバイザーである根本雅也氏に報告をいただきました。体験を伝承する取り組みの実践に触れ、そこに浮かび上がる戦争体験の継承に関わる課題についての議論を深めることができました。
 東京都国立市では、2014年に国立市内在住の原爆被爆者でつくる「くにたち桜会」と市が連携し、同会の被爆者の原爆体験や平和への思いを受け継ぎ、幅広く伝える「くにたち伝承者育成プロジェクト」がはじまりました。この第1期生として、長崎での被爆体験を持つ桂茂之氏(長崎市出身。中学 3 年生のとき、勤労動員の作業中、長崎駅近くの 中町教会横で被爆)の体験を伝承する藤本容子氏による講話の実践をしていただきました。
 小学生に向けた伝承を行う藤本氏は、当時中学生だった桂茂之さんの8月9日の一日の体験を朗読劇の様に物語る形で進めます。藤本氏の語りは、所々、当時の生活用品(例えば大八車)などの説明を交えながら、学徒勤労動員でクラスメイトとともに軍需工場へ荷物を運ぶ作業に従事していた中学生の桂茂之さんの様子を追いかけます。原子爆弾が炸裂した直後、長崎にも、自分の身にも何が起きたかわからない呆然とした混乱状態、一旦学校へ戻ることをきめて歩き進む様子、爆心地を通り、やがて駅へたどり着くまで、爆心地からだいぶ離れてようやく、二人連れの女性たちを助けることができた経験など、桂氏の辿った一日を子どもにわかりやすい平易な口調と抑揚の効いた描写でなぞられました。
 続いて、総合アドバイザーの根本氏にこのプロジェクトの概要を説明していただきました。
体験証言のコピーになってしまっては意味が無いが、しかし、映像ではなく、生の声で伝えることの意味はどこにあるのか、生の人間が伝える際に、展示ガイドと伝承者にはどのような違いがあるのかなど、プロジェクトを作り上げる中でアドバイザーとして根本氏が問われた課題は、展示における戦争体験の継承においても重要な課題であり「平和博物館における戦争体験継承のための展示モデル構築」においてもこうした課題を掘り下げることの必要性が確認されました。また、体験者→伝承者→聴衆という図式の仲で、伝承者もまた体験者から「聴く」側であり、自らが語らなければならないからこその真摯な向き合い方、聴き方がなされます。本プロジェクトでもこのように、伝える側の聞き方についても手がかりに戦争体験の継承について考察を重ねてゆきたいと思います。

 

科研費挑戦的萌芽研究「平和博物館における戦争体験継承のための展示モデル構築」
第3回ワークショップ
「原爆体験の伝承」
日時:2017年5月13日(土)17:30〜20:30
場所:立命館大学国際平和ミュージアム 2F会議室
報告:藤本 容子氏(くにたち伝承者育成プロジェクト)
   根本 雅也氏(くにたち伝承者育成プロジェクトアドバイザー・衣笠研究機構)

 

▲藤本容子氏

▲根本雅也氏

根本氏によるプロジェクトの概要説明

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