立命館大学国際平和ミュージアム 平和教育研究センター Peace Education and Research Institute, Kyoto Museum for World Peace, Ritsumeikan University

お知らせ NEWS

5月18日(金)、科研費挑戦的萌芽研究「平和博物館における戦争体験継承のための展示モデル構築」プロジェクトの第7回ワークショップ「「声なき声」を聞き伝えるー沖縄戦の遺品ヒアリングの現場から」を開催しました

2018.05.19(土)

 2018年5月18日(金)、科研費挑戦的萌芽研究「平和博物館における戦争体験継承のための展示モデル構築」プロジェクトの第7回ワークショップ「「声なき声」を聞き伝える―沖縄戦のヒアリングの現場から」を開催しました。
 2015年に高校の修学旅行で沖縄を訪れ、沖縄戦に関する歴史を知らなかったことに衝撃を受けたという西尾さんは国吉氏と出会いその活動を支援してきました。西尾さんは、十数万点に上る国吉氏の収拾した遺品を沖縄戦の体験談を補完するもの、体験談ではあいまいだとされる事実の確定を担保するものと考え、これを残すために資料に関する聞き取りを進めています。沖縄戦前後を問わず、日本の内地と沖縄の間には差別の構造があり、沖縄戦では、沖縄を捨石とする軍事作戦がとられ、その中で住民は戦火に追われ、その中で動員され、食糧や避難先を奪われ、自決の強要やマラリアの蔓延する地域へ追いやられるといったことも起こりました。国吉勇氏が60年に渡り豪の中から収拾した遺骨や遺品の多くは日本軍のものであり、そのため沖縄戦における住民の体験を伝えるものとは異なるとの見方もありますが、それは住民を追い出し、軍が豪を使っていた証拠でもあります。西尾さんは国吉氏の活動、現在の聞き取りや遺品を活用した沖縄戦についての展示の状況、遺品の中に見えてくるこうした構造について報告されました。
 その後の質疑応答では、体験談とモノの関係は相互補完よりもダイナミックなものであること、国吉氏の「収拾」というふるまいは「体験談」とは異なる意味を持って沖縄戦に迫るものであり、こうした視点からの継承の可能性を持つ取り組みであることが指摘されました。
 戦争体験において、証言は重要なものですが、本プロジェクトでは、こうしたふるまいの中にも継承のあり方を探っていきたいと思います。

 

科研費挑戦的萌芽研究「平和博物館における戦争体験継承のための展示モデル構築」
第7回ワークショップ
日時:2018年5月18日(金)19:00~20:00
場所:立命館大学国際平和ミュージアム 2F会議室
報告:西尾慧吾(沖縄戦遺骨収拾国吉勇応援会・学生共同代表)
参加者:8名

▲西尾慧吾氏

pagetop