立命館大学国際平和ミュージアム 平和教育研究センター Peace Education and Research Institute, Kyoto Museum for World Peace, Ritsumeikan University

お知らせ NEWS

12月14日(金)、世界人権宣言70 周年記念企画・不戦の集い協賛企画「世界人権宣言を捉えなおす」を開催しました

2019.01.12(土)

 

 12月14日(金)、世界人権宣言70 周年記念企画・不戦の集い協賛企画「世界人権宣言を捉えなおす」を開催し、学生を中心に32名の参加がありました。
本企画では、70 年前の12 月10 日に国連総会で採択された世界人権宣言が70 周年を迎えたこの時期に、この宣言をもう一度捉えなおし、私たちにとってどういう意味を持つものかを参加者とともに考えることを目的に開催しました。


 德川氏からは、世界人権宣言の成立の経緯というテーマで、まず、世界人権宣言の成立の背景として1941年1月のフランクリン・ルーズベルト米国大統領の一般教書演説、1942年1月の連合国宣言、1944年10月のダンバートン・オークス提案(国際連合設立に向けた人権の位置づけ)、1945年の国際連合憲章における人権に関する主な規定があり、1948年12月10日に「世界人権宣言」は賛成48、反対0、棄権8で採択されたとの紹介がありました。そして、「世界人権宣言」はその前文にあるように「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、この世界人権宣言を公布」したこと、また世界人権宣言の構成について紹介されました。最後に、人権の役割として①人間開発の目標やプロセスに、「正統性」と「社会正義」の原則を付与、②国家主導ではなく、経済主導ではなく、弱者優先という優先順位のつけ方の変化、③国際社会における国家の「説明責任」の拡大の3点があることを強調されました。


 薬師寺氏からは、いま世界人権宣言を読むというテーマで、まず、世界人権宣言から70年経った現代において「差別のない平等な正義と平等な機会と、平等な尊厳」はどれほど遵守されるようになったのかという点について、SDGsの取り組みの紹介がありました。そして、世界人権宣言の今日的役割として、世界人権宣言は人権文書の礎であり、すべての国連人権条約の基盤であること、また普遍的定期審査(UPR)で援用されており、恣意的拘禁に関する作業部会の根拠になっていることの紹介がありました。最後に、世界人権宣言と日本・アジアについて、1952年に発効した対日平和条約や日本国憲法での人権の取扱い、東アジア(5カ国)と東南アジア(11カ国)における人権の状況について紹介がありました。


 吾郷氏からは、世界人権宣言とILOというテーマで、まずILOがベルサイユ条約によって設立され、国際人権保障機構の役割を果たしていること、ILOは国際連盟の経済社会理事会の役割を果たしていることの紹介がありました。そしてILOの諸条約と国際人権宣言の関係およびILOの国際労働基準実施監視機構がSDGsの実施メカニズムとして働く点について、具体例を示しながら紹介がありました。


 時間の関係で三氏によるディスカッションを行なうことができませんでしたが、参加者からは「人権とは何かを改めて知る良い機会となりました」、「今回のシンポジウムではSDGsを人権の観点からとらえていたので、私が気がつかなかった視点を学ぶことができた」、「法学部生ではないのですが、本日聞いた話を自分の学びに生かせればと思います」、「世界人権の概念がもっと韓国の国内社会に広まるべきだと思いました」等の感想が寄せられました。

 

世界人権宣言70 周年記念企画・不戦の集い協賛企画
「世界人権宣言を捉えなおす」
日時:2018年12月14日(金)18:00~19:00
場所:立命館大学衣笠キャンパス・存心館311 号室
報告:薬師寺 公夫(立命館大学大学院法務研究科教授)
德川 信治(立命館大学法学部教授)
吾郷 眞一(立命館大学国際平和ミュージアム館長)
参加者:32名

 

▲德川先生

▲薬師寺先生

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