立命館大学国際平和ミュージアム 平和教育研究センター Peace Education and Research Institute, Kyoto Museum for World Peace, Ritsumeikan University

お知らせ NEWS

9月4日(水)、「3.11 後の平和博物館の展示内容の改善と国際ネットワークの構築」プロジェクト・公開講演会 日米対話交流イベント(米軍元捕虜の娘さんとの対話)を開催しました

2019.10.03(木)

▲講演会の様子

 

 「3.11 後の平和博物館の展示内容の改善と国際ネットワークの構築」プロジェクト・公開講演会では、外務省の「日米草の根平和交流招へいプログラム」で訪日中のドーン・クレアさん(米国人捕虜ウェイン・ミラー氏の娘)とアンドレア・クレンパさん(米国人捕虜ローレンス・ティプトン氏の娘)を迎え、元捕虜が受けた屈辱や体罰、暴力や家族への影響について対話形式でお話をいただきました。


 最初にコメンテーターの中尾先生より、映像も交えてバターン・コレヒドール戦線、ヘルシップの解説があり、その後に対話形式で家族の視点からの元捕虜が受けた屈辱や体罰、家族への影響についてドーンさんとアンドレアさんからお話をしていただきました。
 父が元捕虜であることをいつ知ったのか?捕虜になってからの「恥辱の行進」(日本軍が捕まえた捕虜を数珠繋ぎにして町を見世物にして歩かせたこと)についてどのように考えるのか?フィリピン人とアメリカ人との関係はどうであったのか?どのようなトラウマを抱えていたのか?お父様はどのように捕虜体験を家族に語ったのか?元捕虜に対してアメリカ政府から緘口令が出ていたのか?日本政府や当時の兵士に対して思うことは?などなどでした。フロアからの質問には原爆の是非も出ました。
 対話の中で、捕虜達は様々なトラウマ(飢餓や心理的実験に対する反応)や被害の様子が語られましたが、政府から「経験を語るな」という命令があったことや、心理的抑圧の影響で家族に対しても多くを語れず、語れるようになるまでには相当の時間が必要であったことが紹介されました。また、捕虜の家族に、捕虜が受けた心理実験の後遺症が入り込み、子供へのいじめやいたずらをする父になったことも語られました。日本に対しての想いについては、国民を憎むのではなく戦争という悲しい歴史に原因があり戦争を二度と起さないことの大切さが話されました。
 最後に参加者からの質問に答えていただきました。


<参加者の感想文より>
●戦争を起こした国ではあるが、日本国・日本人が受けた甚大な被害については、見たり聞いたりしてきているが、他国に
 (相手国)に及ぼした被害・影響については知る機会があまりなかった。これまで教えられなかった(私が勉強しなかっ
 た?)事実があまりにも多いと感じた。各国内で報道・広報・語られることは異なる(各々の事情あり)、異なる立場からの
 実話を、平たく聞ける機会が今後も多く提供されれば嬉しい。大変貴重な機会をおありがとうございました。わかりやすく
 お話くださったお二人にとても感謝致します。
●お話ありがとうございました。戦争のことを亡父が話をしない理由がわかったように思います。日本の未来が心配です。
 戦争反対。天皇達が海外の戦地を回り、花束を捧げる気持ちがよくわかりました。日本国の首相も同じ行動をすれば
 よいと思う。
●私は大学でシベリア抑留体験の研究をしていますが、日本軍の捕虜に対する取り扱い、その被害体験についても、学ばな
 ければと思い、参加致しました。私自身が研究では当事者への聞き取りを重視していますが、本日ご家族の方からのお話
 を伺えたことで、体験が戦後の人生に何をもたらしたか、特に家族という親密かつ継続的な関係性における影響を伺うこ
 とができたため、次世代の語りは当事者世代が亡くなったあととの代替・補完ではなく、それ自体として価値のあるもの
 だと感じました(代替・補完のように考えていた自分の考えを改めました)日本人でなく、非当事者という二重に今までの
 自分の研究と異なるお話が伺えたので関心が広がり、かつ自分の研究への思いも新たにでき、いい機会になりました。
 ありがとうございました。

 

「3.11 後の平和博物館の展示内容の改善と国際ネットワークの構築」プロジェクト
公開講演会 日米対話交流イベント(米軍元捕虜の娘さんとの対話)
日時:2019年9月4日(水)14:00~16:00
会場:立命館大学国際平和ミュージアム 2階F会議室
報告:ドーン・クレアさん(米国人捕虜ウェイン・ミラー氏の娘)
   アンドレア・クレンパさん(米国人捕虜ローレンス・ティプトン氏の娘)
コメンテーター:中尾知代さん(岡山大学准教授)
司会:山根和代(立命館大学国際平和ミュージアム 専門委員)
参加者:25名

 

▲対話の様子  

▲講演会前のミュージアム見学の様子

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