立命館大学国際平和ミュージアム 平和教育研究センター Peace Education and Research Institute, Kyoto Museum for World Peace, Ritsumeikan University

お知らせ NEWS

第16回メディア資料研究会を開催いたしました 開催報告

2020.10.16(金)

 第16回メディア資料研究会はコロナウィルス感染症の拡大状況を受け、研究会講師および参加者の安全に配慮し、zoomによるオンライン形式での開催となりました。今回は認定特定非営利活動法人わだつみのこえ記念館の山辺昌彦氏をお招きし、大学文書館・博物館・大学史編纂機関などの刊行物を中心に、大学史から分かる学徒出陣の内容と研究の到達点、資料の所蔵状況についてご報告をいただきました。
 従来、大学や高等・中等教育機関の学生・生徒は兵役法により、修業年限に応じて「年齢二十七年ニ至ル迄」兵役を猶予されていましたが、戦局の悪化に伴い徐々にその猶予期間は短くなっていきました。狭義の学徒出陣は1943年の在学徴集延期制度停止によるものを指しますが、広義では1944年以降の在学年限の短縮や徴兵適齢の引き下げ、入営延期の縮小による在学中の学生・生徒の入営・入団も含みます。
 学徒出陣に関する調査・研究は資料のある大学ごとに進められており、徴兵者数や戦没者数などの詳細はある程度明らかになっているといいます。報告では各大学の文書・論文・書籍など膨大な数の資料調査から学徒出陣の実態に迫り、制度・法令、徴兵検査、出陣学徒壮行会、学籍の取り扱い、植民地出身学生に対する半強制的な動員の実態についてご説明いただきました。また大学の整理統合の問題についても言及され、高等教育が理工系を中心に再編成されたことや、軍や軍需企業への校舎提供が、学徒出陣による学生の減少に対応する形で行われたことについて指摘されました。
 最後に当館所蔵資料の中から、立命館学生の入隊所感や遺稿などの紹介をオンライン上の画面共有により行い、博物館としてこれら個人資料をどう扱い、来館者にどのように伝えていくかについて考えました。さらに絵画や音楽といった美術系学校における学徒出陣の実態についても指摘があり、それらを踏まえた包括的な研究が進むことが期待されます。

 

16回メディア資料研究会 

報告 「学徒出陣研究の到達点と資料の所在について―大学文書館・博物館・大学史編纂機関を中心に―」
日時 2020924日(木) 1700-1900

報告者 山辺 昌彦(認定特定非営利活動法人 わだつみのこえ記念館 館長)

参加人数 31

 

▲山辺昌彦氏

pagetop