立命館大学国際平和ミュージアム Kyoto Museum for World Peace, Ritsumeikan University

絵葉書:修養団顧問渋沢子爵米寿祝賀記念 MUSEUM ARTIFACTS






絵葉書:修養団顧問渋沢子爵米寿祝賀記念

1925 (大正14)530日以降

この絵葉書は修養団(青少年の社会教育を目的として明治末期に発足した社会教育団体)の顧問であり、経済的にその活動を支援した渋沢栄一の米寿(べいじゅ)に際し、1925 (大正14)年に修養団が主催した祝賀会で参列者に配布された記念品の一つ。それぞれの絵葉書に松竹梅(しょうちくばい)がデザインされている。

 



 

 修養団はそのスローガンに総親和、総幸福の明るい世界の実現を掲げており、そこには渋沢の「平和」への思いと共通するものがあったのではないでしょうか。
 晩年の渋沢は国際交流を通じた平和活動を数多く実践していました。アメリカで日系移民の排斥運動が問題となった際は、渡米して当時の大統領ウォレン・ハーディングと会見し、対応策の協議を行いました。また1926(大正14)年に設立された「日本太平洋問題調査会」の議員会会長として、悪化しつつある日米関係改善のために尽力し、対外交流の窓口として諸外国からの来賓(らいひん)の接待を続けました。日中関係に於いても、訪日した蔣介石(しょうかいせき)を邸宅に招待して意見交換を行い、両国の経済的な結びつきの強化を訴え、日中両国の友好を志向するなど、民間外交に尽力しました。
 現在、国家間による平和的な関係の構築が十分なされているとは言えません。しかし私たち一人一人が民間の立場として、諸外国の人々との積極的な交流を通じて、お互いを理解しあい、認め合うことは可能ではないでしょうか。国境や国籍を越えた相互理解は、世界平和に向けた小さくも確かな一歩であることは間違いありません。戦後75年を迎えた今、私たちは渋沢栄一の国際交流を通じた世界平和に向けた活動から学ぶべきことがあるのではないかと思います。

実習生 中村凌太郎

 

 



資料詳細:修養団絵葉書


修養団本部会館の玄関前に立つ渋沢と会館の全景 渋沢が執筆した修養団の標語である「汗と愛」と渋沢と夫人の兼子 渋沢の修養団全国支部幹部会議での講演会の様子

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